先人の知恵が編み出した
治水の技。
黒部川と竹蛇籠
自然に優しく「多自然川づくり」にふさわしい土木材料として見直されている竹蛇籠。
「黒部川竹蛇籠保存会」は、竹蛇籠の作り手の技術の後継を目的に、
この伝統技法を守るために発足しました。
保存会は日本河川協会の「河川功労者表彰」(平成25年)を受賞。
歴史、文化活動、芸術活動等により河川文化の発展に寄与したことが評価されました。
竹蛇籠とは?
ひとと自然が共存する、おだやかな水辺の風景のために。
蛇籠は「古事記」にも登場する伝統技法
竹蛇籠とは、割り竹を編んで作る円筒型のかごのことで、中には川原石や砕石を詰めて、河川の護岸や用水口の堰などに利用されてきました。 細長い形が蛇に 似ていることから、この名がついたとされます。発祥は中国で、日本への伝来時期は不明ですが、 「古事記」にも登場する由緒ある技法です。 竹の成長は早いので手に入りやすく、しなやかで石を詰めやすいため、 蛇籠といえばかつての竹製のものが主流でしたが、現在では鉄線製が多く使われています。
水の中の生きものや、自然環境にメリット
竹蛇籠は軽いので、運搬、保管、撤去がしやすいのが特徴です。川に設置すると、流れが蛇籠の中を通り抜ける間に、 水の勢いを和らげる効果を生みます。また、石のすきまは魚や水生昆虫などの格好のすみかになります。 竹は、水中で腐食しにくいので長年の使用に耐えますが、役目を終えればいつか自然に還り、周囲の環境を損ねません。
「多自然型川づくり」について
今日は河川は単なる治水、利水の機能だけでなく、多様な自然環境や水辺空間を活かした、 うるおいある生活環境の舞台としての役割が期待されています。 多自然型川づくりは、必要な治水上の安全性を確保しつつ、 多様な河川の環境の保全を図るとともに、改変を最低限にすることにより良好な自然環境の復元が可能となるような川づくりを行うことを目的に、 河川改修の基本として取り組まれています。