伝統技術の継承と研鑚に努めています。

黒部川竹蛇籠保存会

竹蛇籠の製作は、親から子へそれぞれの家の技として引き継がれてきたため、職人の数は限られていました。 加えて、工事の機械化や職人の高齢化に伴い、技術 の継承が大きな課題となっていました。 昭和61年、建設省北陸地方建設局(当時)等の共済で実施された神通川水防訓練演習で、黒部川沿川の竹蛇籠職人6名 が実演したところ大変好評で、 この伝統技法を守ろうとの機運が高まり同保存会が発足しました。現在は若手中心(14名)に、技術の継承と研鑚に努めています。

練習状況

水防演習参加

活動の経緯

昭和61年 神通川水防演習(富山市)
昭和62年 黒部川改修50周年水防訓練(入善町)
平成5年 黒部川水防演習(黒部市)
平成6年 飯野堤災害復旧工事(入善町)
平成7年 黒部川水防訓練(入善町)
平成8年 黒部川河道維持工事(入善町)
平成9年 黒部川水防訓練(宇奈月町)
平成11年 庄川・小矢部川連合水防演習(県庁前公園)
平成11年 黒部川水防訓練(黒部市)
平成12年 利根川水系連合水防演習(群馬県明和町)
平成13年 黒部市水防訓練(入善町)
平成15年 黒部川水防訓練(黒部市)
平成17年 黒部川水防訓練(宇奈月町)
平成19年 黒部川水防訓練(黒部市)
平成21年 黒部市水防訓練(入善町)
平成22年 黒部川水防工法研修会(黒部市)
平成23年 黒部川水防工法研修会(黒部市)
平成24年 黒部川水防工法研修会(黒部市)
平成25年 黒部川水防演習(黒部市)
平成26年 黒部川水防工法研修会(黒部市)
平成27年 黒部川水防工法研修会(黒部市)
平成28年 黒部川水防工法研修会(黒部市)

黒部川水防演習

若い人に引き継いでほしい素晴らしい伝統技法。

竹蛇籠【初】体験記

 竹蛇籠の模型を初めて見たのは毎年秋に開催される「くろべフェア」でのことでした。 当時は入社前でしたが、面白い工法だなぁ、という漠然とした想いを 持ったのを覚えています。 会社の一員となり、倉庫に置いてあった竹蛇籠を発見、前回は身長ほどの模型でしたが、 目の前にあるのは実際に使われるサイズ、その大きさに驚きました。

 今回から保存会に加えてもらい、五十歳過ぎの新人の初体験記を書かせて頂くことになりました。 まずはこの誌面をお借りして丁寧に指導して頂いた皆さんに 感謝するとともに、 十年に一度という大きな水防演習にまで参加できたことを大変光栄に思っています。本当にありがとうございました。

 竹を切る、割る、削ぐ、編む、どの工程もまったくの初体験、特に編むに至っては正直、 何もわからないまま終わってしまいました。編み方の基本は何度か聴かせてもらい、実際に編むところも注意して見ていましたし、 一度は夜遅くまで手取り足取り、皆さんから教えて頂きましたが、今もって見当がつきません。 ふたり一組で竹が規則的な配列で籠になっていく様は凄いのひと言でした。

 もうひとつ驚いたのはナタで竹を切ることでした。直径3センチ程の部分をナタで斜めに切る、竹やりを作るような具合ですが、 これが全然できず、中途半端に裂けるだけ、まったく歯が立たない、とはこのことでした。

 斜めに切った竹の切り口に裂け目を入れ、2.5センチ程度の幅になるように木具とハンマーで均等に割っていくのですが、 幅もバラバラ、節のところで割れずに止まってしまうこともしばしば。誰もが簡単に竹を割っていくので正直、 自分の不器用さに腹が立ったものです。竹を接いでいく際、曲げても折れない程度の柔かさにする、 その加減もわからないまま見よう見まねで竹の先端を削ぐ、結果的にまったく使い物にならないものが何本も出来あがっていました。

 こうして十年に一度の大きな水防演習の本番を迎えました。当日は地下足袋に保存会のハッピを身にまとい、 それはもう大変な緊張でした。千人以上の関係者 や一般来場者が注目する中、竹蛇籠を作り慣れたフリをしてナタを振っていた、 というのが偽らざる私の姿でした。 先人たちが暮らしを守るために伝えてきた治水の技、竹蛇籠。 かつては日本各地で作られていたそうですが、これを今も保存会として伝承しているのは全国で黒部川竹蛇籠保存会のみ。 そしてこの5月、保存会のこれまでの功績が認められ、公益社団法人日本河川協会から「河川功労者表彰」を受賞。 このような素晴らしい伝統技法は若い人たちにこそ、引き継がれてほしい、と思います。

H25年度 黒部川水防演習

日時:平成25年5月19日(土) 午前9:30~11:30

場所:黒部川左岸出島地先

主催:黒部川水防連絡会、北陸地方整備局、富山県、黒部市、魚津市、入善町、朝日町

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